雨の日もいいもんだ~王様の美術館・高知県立美術館

ずっと前から計画していたのに、急用が入ったり、お天気が悪かったりして延び延びになっていた高知行きを決行しました。

当日は大雨・・・

お天気のせいで延期したにもかかわらずです。
何故かと言うとこれが観たかった。

 

3年前に六本木の国立新美術館で観た『マグリット展』があまりにも印象深くて、まだ是非行きたいなと思っていたところ、今回はマグリットも含めた美術展が同じ四国で開催されるという情報をキャッチしこれは絶対行かなければと思ったわけです。

会期は今月の24日(祝)まで。

なんやかやで延ばし延ばししているうちに・・・

もう後が無い!

 

雲の中に突入します!!

どう考えてもドライブ日和では無い悪天候の中、下がるテンションを無理やり上げつつ高知県立美術館を目指しましたが、
結果、とても楽しめたのでここにご紹介いたします。

高知県立美術館

晴れてたらこんな感じ(※高知県立美術館HP冒頭の画像をお借りしました)

そして、当日はこんな感じです(涙)

天候の関係でこのアングルがせいいっぱいでした。
でもなかなか風情があります。負け惜しみじゃないですよ。

ご覧のとおり、外観がとても特徴的。
ちょっと美術館らしくなくモダンというより渋いというか地味・・・す、すみません。
(ここから見ると巨大な百葉箱にも見えますね。内緒です。)

土佐漆喰の土蔵をモチーフにしたデザインということで納得できました。

アプローチも素敵。
アーチの屋根は木製、雨をはじく音がとても心地よいです。

建物の中にはいったら照明が温かくてほっとしました。

2階に続く階段の手前側にある作品は

どうも、船のようですね。

受付の隣にあるミュージアムショップも含め、全体的に良い意味でこじんまりしたホールです。

詳しくはこちらのウェブサイトから

高知県立美術館
シャガール、近代・現代の美術作家、郷土作家によるコレクション展と、国内外の様々なジャンルのアートをご紹介する企画展を開催。

王様の美術館

1989年に開館した横浜美術館の収蔵する約12,000点のコレクションの中から19世紀末から20世紀後半までの作品が絵画はもとより彫刻、版画、写真にいたるまで厳選され展示されています。

「第1章 フランス近代美術」と「シュルレアリスムの精華」と題された2部構成になっています。

高知県立美術館『王様の美術館』パンフレットより

あくまでも私的印象ですが、第1章前半でまず心を整えさせ、後半、「ん?何だか雲行きが怪しくなってきたぞ」と思わせといて、第2章「やっぱね~!そうきましたか!」という流れでした。

なので断然第2章が面白かった!(面白かったって表現は不謹慎ですか?)

何といってもダリの大作『幻想的風景、暁・英雄的正午・夕べ』は圧巻。

あと、興味深かったのはエルンストのデカルコマニーという手法です。

絵画技法用語。フランス語で「転写法」の意。シュルレアリストたちが好んで応用したオートマチスムの絵画技法の一つ。の上に絵具を塗り,それを二つ折りにするか,ほかの紙をその上から押しつけて引きはがすと,奇怪で幻想的な模様が生れる。シュルレアリスム画家,O.ドミンゲスが 1835年に創始したとされるが,この技法による絵画表現を発展させた代表的な画家は,M.エルンスト
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について

なんだろう・・・

ぞわぞわしてくるのです。
不安とか焦燥とか、まるで悪い夢をみているような・・・。

で、お目当てのマグリットに関しては、2作品(王様の美術館、青春の泉)しか展示されておらず、ちょっと残念ではありました。

ちなみに今回の美術展のタイトルを「王様の美術館」にしたいきさつが、配布された小冊子の覚書に記されています。

展覧会のタイトルをつけるのは難しい。
互いに入れ子になっている「フランス近代美術」と「シュルレアリスム」をどうやって一つにまとめるか。幸い、今回の出品作にマグリットの《王様の美術館》があり、このタイトルを拝借することにした。一見して無関係のものが画面の上で出会い、新しい意味を生み出すことは、シュルレアリスムの美術の代表的な手法である。このタイトルのもつ詩的効果は絶大であり、われわれはタイトルを含めた総体としてこの作品をすんなりと受容する。インパクトのある《王様の美術館》は、内容的に展覧会を象徴するものと思えた。
※《王様の美術館》覚書 高知県立美術館 学芸課長 奥野克仁 より抜粋

ううむ・・・ちょっと私には難しいのですが、この展示会全体の雰囲気にとてもあっていることは感じました。

幻覚、恐怖、妄想、退廃、嘲笑・・・人が目を逸らしたい全てのものがここで蠢いています。

そしてそれを冷たい目で眺め、制するものは不思議なことに圧倒的な「静」です。

マグリットの描くこの山高帽の紳士は微動だにもせず、この狂気に満ちた世界に冷たい視線を浴びせている・・・ような気がするのです。

このモチーフはこのほかにも様々なパターンで表現されていて、シルエットの中に描かれている風景も現実なのか空想なのかの境界線もあいまいでまさに「シュール」そのものなのですが、その移り変わっていくさまはまさにマグリットの人生そのもののような気がしてなりません。

コレクション展にも注目

シャガール・コレクション展

おなじみのマルク・シャガールの作品が常設展示されています。

今までも「故郷」「自画像」「音楽」とテーマを入れ替えていて今回のテーマは「動物」です。
おなじみのロバやウマ、ヤギ、ニワトリなどが幻想的な色彩と形で表現されています。

好き嫌いの分かれるシャガールですが、私は割りと好きです。
目を凝らさないとちょっとわからない隠し絵的なテイストが楽しめることと、たびたび宙を舞う(飛ぶ)動物たちがとてもキュートなので(笑)

シャガール好きな方には、いつでも彼の作品に会えるおすすめスポットですよ。

石元泰博・コレクション展 HANA

石元さんはアメリカ生まれ。
戦後、日本とアメリカを行き来しながら活躍された写真家です。

今回の「HANA」は全てモノクロです。

よくモノクロの写真を観て「色が想像できるようだ」と表現する人がいますが、少なくともこの作品に関しては私はそうは思いませんでした。

闇の中でずっと息を潜めていたものが、目を覚まし、やがてそろそろと触手を伸ばし始める・・。
静かでしたたかで色を持たない地球外生命体・・・そんな感覚。

石元さんが「花」ではなく、あえて「HANA」と言い表した訳がわかるような気がしました。

気をつけたいこと

企画展、常設展を知っておこう

1階でチケットを購入して2階に上がり、半券を切ってもらう際、展示室の案内をしてもらえますが、ぼーっと聞いてただけだと動線的に『シャガール展』の方に先に入ってしまいます。それはそれで良いのですが、一瞬「え?シャガールも横浜美術館所蔵なの?」と思ってしまいます。
ものすごく無知な私だけかもしれませんけど。

あと「第1章 横浜美術館所蔵のフランス近代美術」と「第2章 シュルレアリスムの美術」は展示場は別々になっています。ここでもそそっかしい私は第1章を観たあとで、「あれ?これで終わり?マグリットは?」と焦ってしまいました。

もう・・・ほんとバカ。

当たり前のことですが、美術展に行く前は、その美術館で開催されているメインの企画展、常設展の内容などをあらかじめざっくりでいいので予習していきましょう。
特に私のような、おっちょこちょいさんは要注意です。
すごく魅力的な展示をしてるのに見逃してしまうかもしれませんよ。

駐車場

美術館に到着したときが土砂降りで駐車場案内も確認できず、少しでも建物よりの駐車スペースを探しました。
屋根なしの芝生?の整備されたところでしたが、石畳の部分が凹凸が結構あったのか大きな水溜りに足をつっこんでしまうはめに。
大雨の日に行かれる方は足元に充分注意して下さいね。
後で落ち着いて案内図を見ると「屋根あり」のところもあったようです。
そのあたりも確認していきましょう。

雨の日もおすすめ

大雨の中でたどり着くまでは大変でしたが、しっとりとした雰囲気の美術館に癒されました。
展示室の中はしんとしていても、一歩廊下に出ると、中庭には滝のような雨が降り注ぎ、ざあざあという音が響き渡ってました。
その光景を見、雨音を聞いていると何故だかしんと心が静まる・・・そんな体験をさせてもらえた一日でした。

雨の日に訪れる美術館もなかなか良いもんですね。

 

追記
『王様の美術館』は24日(月・祝)までで終了しますが、『シャガール・コレクション展』(動物)は11/11まで、『石元泰博・コレクション展』(HANA)は、前期8/7~10/7、後期10/9~11/25まで開催されます。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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